実際に物件が決まったら、いよいよ申し込みする段階へときます。しかし、申し込みしたからといって必ずしも物件の契約が確定するわけではありません。人気物件には申込みが集中し、契約条件やスピードによって競合負けしてしまうケースも考えられます。そこで、ここからは申込みから契約締結までの流れについて紹介していきたいと思います。
内見をへて、気に入った物件があれば所定の申込書に必要事項を記入し提出します。申込書の記入事項としては
などがあります。連帯保証人の欄は前々から話をして決めておくと良いでしょう。物件によっては『どんなお店を開き、どんな営業を行なうのか』といった事業計画書の提出を求められる場合もあるので、物件探しの段階で事業計画書についても準備しておくと安心です。
また、人気物件で申込みが殺到している場合や外国籍の方の場合には、融資の有無や就業ビザの確認をされることがあります。そういったこともあり、基本的には書面で申込みをした後にキャンセルをしても、料金は発生しません。
店舗物件を借りる際にも通常の居住用物件と同様に入居審査があります。ただし、店舗物件の入居審査は審査期間に数日間かかる場合が多く、何日も待ったけれど審査に落ちるなんてことも少なくはありません。入居審査は、申込書や事業計画書をもとに貸主(大家さん)が行うため、重視されるのは
などの項目です。場合によっては会って人となりを知りたいという方もいらっしゃるので、その場合は事業計画書に記載したようなお店のコンセプトや開業への熱意、入居したいという意思をアピールしましょう。
審査を無事通過することができれば、いよいよ契約締結へと進みます。ここでのポイントは、契約締結日前に必ず契約書を事前に取り寄せて全文に目を通しておくことです。少しでも気になる部分があれば、契約締結前に質問しクリアにしておく必要があります。また、居抜き物件を取得する場合には、賃貸借契約と同時に造作譲渡契約書を締結するのが一般的です。この場合は
などを確認しておきましょう。
店舗の物件契約は契約条件の確認、入居申し込み、入居審査、賃貸借契約と段階を踏んで進んでいきます。この全てのステップにおいて、契約書などの書面の確認はとても大切です。ここからは特に注意してみておくべき賃貸借契約書と造作売買契約書について紹介していきます。
賃貸借契約は大家さんと結ぶ契約です。賃貸借契約書で特にしっかりと確認してほしいのは以下の5つとなります。
基本中の基本ですが、賃料・共益費・水道光熱費等の月々の支払いがいくらで、いつまでに支払うかはしっかりと確認しておかなくてはなりません。
物件によって契約期間は異なります。契約更新のたびに更新料がかかるため、例えば物件を5年借りたい時、契約期間が2年の場合と5年の場合では、賃料に相違がなければ5年の方が結果的には安くあがります。なぜなら、契約期間が2年の場合は、5年間のうちに2回更新を迎えることになり、そのたびに更新料が発生してしまうからです。そういった点も考慮に入れて、契約期間を確認しましょう。
万が一閉店や移転をする場合も考えて、いつまでに予告すべきかということは契約の段階で把握しておきましょう。また、契約解除の際には、どの程度保証金が戻ってくるかも把握しておいて下さい。
例えば退去の申し出が6か月前とされていた場合、万が一業績不良で撤退を決めたとしても、申し出てから6か月間は賃料を払い続けなければいけないことになっています。また、もしも現状復帰義務が明記されている場合は、退去する際にスケルトンにするなど大きな資金が必要になるため、退去時の条件に不利益がないかを確認して下さい。
飲食店を経営していると、漏水や害虫などさまざまな問題が発生する可能性があります。そういった事態になったときに、どのような手順で解決していけばよいかも確認しておくと安心です。
造作売買契約は前テナントオーナーとの契約です。造作売買契約書で特にしっかりと確認してほしいのは以下の3つとなります。
造作譲渡契約書では、譲渡品リストが添付されています。どれを引き継ぐことができ、どれを自分で買い足さなくてはならないのかを把握するためにも、リストの確認は必須です。
譲渡料の支払には期限が設けられているため、必ず期限通りに支払わなければいけません。期限を超えてしまった場合には、ペナルティが書かれていることがありますので、そちらも把握しておきましょう。
居抜き物件には、予測のつかないトラブルが起きることがあります。そのため、万が一のトラブルが発生した時のリスクや対処方法についても確認しておくと良いでしょう。
賃貸借契約を結ぶ流れや必要書類などについて紹介します。
契約締結の際は、仲介をしている不動産会社の事務所まで赴きます。所要時間はだいたい1時間~2時間程度ですが、長い場合もあるためスケジュールには余裕をもっておきましょう。
契約時に必要な持ち物は以下の通りです。
飲食店経営には、火災や漏水のトラブル、食中毒など予期せぬリスクがつきものです。そこで、いくつか入っておくと安心な保険について紹介します。
店舗総合保険は『火災保険・施設賠償責任保険・PL保険等、複数の保険をひとまとめにした保険』であり、補償対象が広いのが特徴です。 自然災害による損害はもちろん、デモなどで店舗が開けられなかった場合など、店舗の設備や什器に損害が生じた場合に補償が受けられます。オプションでつけられる特約として、休業のリスク補償や賠償のリスク補償などにも加入しておくと、飲食店で起こりうる様々なトラブルに対応することが出来ます。
いかがでしたか。気に入った店舗物件があっても、契約の段階で違和感を覚える項目があったり、不利益な条件がある場合は契約をしない判断も大切です。世の中には確認不足で予想していなかったトラブルに巻き込まれることもあるため、契約書の中身はしっかりとチェックする必要があります。その際は本記事で紹介した項目に注意して見てください。