これまで融資面談や不動産契約時など、様々な場面で自店のコンセプトについて説明してきたという方も多いと思います。
同様に、内装づくりにもコンセプトがとても重要で、いくら素敵な内装でもコンセプトに合っているかどうかで開店後の売り上げが変わってきます。
そこで、本記事では店舗の内装を具体的に決めていくためのポイントや、施工業者に依頼する際の注意点について紹介していきます。
『どんな客層に、どんなサービスで、どのような料理を提供するか』という店舗全体のコンセプトに基づいて、それを実現するためにはどんな内装がふさわしいかという視点で内装のテーマを考えます。
コンセプトについてはこれまでに事業計画書や融資面談で具体的になってきていると思うので、それらに沿ってデザインを想像してみるのが良いでしょう。
雑誌やWEB上の写真、自分の好きな実在する店舗などを参考に、どんな店舗にしたいかのイメージを絞り込んでいきましょう。自分がイメージしているコンセプトでお店を検索すれば、似たような店舗のデザインやコンセプトの写真&動画をたくさん見ることが出来ます。
いざ、内装工事を依頼する段階になって口頭でイメージをしっかりと共有出来る方は少ないと思うため、具体的な写真や動画など参考になるものがあると安心です。
実際にイメージを実現するためには予算が必要です。内装デザインは、予算によって実現できることとできないことがでてくるため、予算設定によってデザインも大きく変わってくるでしょう。
ただでさえ高額な費用を要する内装工事なので、できるだけ安く抑えたいと思う気持ちもわかります。しかし、予算は少なくすればするほど、思い通りのデザインにならないことは覚悟しなくてはなりません。
そこでおすすめなのは内装業者に『MAXいくらまでだせるという上限を決めて提示すること』です。
内装デザインの打合せは何回もおこなうことになるため、どこをどう変えればコストを下げることができるかなどの相談は後からでも可能です。
できあがったデザインをもとに、優先事項を決めて希望予算とすり合わせていきましょう。
店舗の席数と配置は売上やオペレーションなどにも関わる客席は、飲食店経営において注視すべきポイントです。店舗の広さやカタチによって異なるのはもちろん、同じ面積でも業態やコンセプトに合わせて確保する席数は変わってくるため、一概に面積で席数が決まるとはいえません。
基本的には1坪あたりの席数は1.5~2席が良いとされていますが、客層が高めのお店であればゆったりと席間隔を広くし、大衆的な居酒屋であれば席数を多く確保する、といったように業態やコンセプトによって柔軟に変えることが大切です。
小さな物件で飲食店開業する場合、カウンターを利用したオープンキッチンをつくることは有効的だとされています。オープンキッチンを活用することで、少人数でのオペレーションが可能となり、オーダーから提供までのスピードを上げる効果が期待できます。また、目の前で調理するライブ感やコミュニケーションを図るなど、お客様にとってのメリットも大きくあります。
また、カウンターを有効に使うこともおすすめです。一般的に、飲食店カウンターの一人当たりの幅は500~600㎜、奥行は450~500㎜が望ましいといわれています。また、お客様が注文する料理の数、その料理に使用する予定のお皿の大きさが収まるかどうかも重要ですので、可能であればカウンターの寸法を決める前に使用する予定のお皿を並べてみてどれくらいの幅・奥行が必要かを確認しておくとよいでしょう。
競合との差別化はもちろんのこと、周辺にある店舗との差別化という視点はとても大切です。自分の店舗にしかない雰囲気や、ポジションを明確にアピールできれば、開業後の経営を軌道に乗せることができるでしょう。
逆に差別化ポイントが明確でないと、なんとなく利用するお客様方が多くなり、リピーターにつながりにくくなります。差別化すべきポイントが分からない方は、周辺店舗の内装やスペースの広さ、客層などを分析して、差別化できそうなポイントを探してみてください。
なんといっても大事なのが、お客さんの目線でデザインするということです。お客さんに入ってみたいと思ってもらえるようなデザイン、入った後に料理を楽しんでいただけるようなデザインという視点が店舗デザインの大前提になります。
またデザインが良いということも大切ですが、お客様が心地よく食事を楽しんでいただけるレイアウトである必要があります。例えばトイレの近くの客席や、スタッフの動線となる客席は、せっかくの食事の時間を妨げないような工夫が必要になってきます。
店時の対応やオーダーのしやすさ、会計時の対応などはすべて顧客満足度につながることですので、死角があってスタッフがお客さまの様子を確認できないレイアウトなどは避けるようにしましょう。
フロア、厨房ともに、スタッフの作業効率を考えてレイアウトすることが大切です。例えば、余分なスペースは作らず、料理を調理してテーブルへ運ぶまでの移動距離が最短になるよう工夫するなどです。
もしも既に店舗スタッフがいるなら、意見をヒアリングしてレイアウトに取り入れていくのも良いでしょう。
客席をどのように配置するかは、経営効率にも関わってきます。同じ広さでも、レイアウト次第で席数を多くしたり少なくしたりができるからです。また、ランチやディナー、平日や休日によっても利用組数の特徴は異なるため、どんな場合にもフレキシブルに対応できるようにテーブルを設定するのが良いでしょう。
ランニングコストは『設備や建物を維持するために必要となるコストのこと』です。例えば、飲食店店舗の場合、全面ガラス張りの店舗だと視認性がよくお客さんが入ってきやすいという反面、夏の暑い日には日差しが差し込み、冷房代がかさむというデメリットがあります。
このように、デザインや集客性は良くてもそれを維持するためのコストまで考えると要検討しなければならないデザインはたくさんあります。そのため、こういったデザインを取り入れてそれを維持していけるのか、まで考えて内装を決める必要があります。
内装工事には膨大な費用が必要になるため、なるべくトラブルなく理想の店舗づくりを行いたいですよね。そこで、ここからは内装工事を依頼する前に知っておくべことや注意点について紹介します。
内装業者に依頼する前に物件の取得、あるいは申し込みまでは済ませておくことがおすすめです。なぜなら、物件取得していない段階だと、せっかく内装について連絡をとりあっていても後から『やっぱり物件取得できませんでした』となることもあるため、物件取得前の依頼は内装業者にとって身構えてしまう案件だからです。
『すでに物件は取得済です』と伝えたうえでの依頼なら、内装業者も安心して受けてくれることでしょう。
内装業者に依頼する前に、だいたいの予算やMaxどこまで出せるかについて明確にしておきましょう。最初の段階で『ここまでが上限です』と伝えておけば、内装業者は、最大限予算をかけた場合のプランと、予算を絞った場合のプランのバリエーションでプラン提示をしてくれます。
ておくと、飲食店で起こりうる様々なトラブルに対応することが出来ます。
いかがでしたか。内装デザインは店舗のコンセプトに合わせて、なるべく理想通りに完成させたいですよね。そのためには、様々な視点からデザインをつめていく必要があります。納得のいく店舗にするためにも本記事を参考にして、デザインを考えてみてください。