飲食店の開業、資金が0円でも大丈夫?!資金調達方法とそのリスクを理解しましょう。
飲食店の開業ではさまざまなことに費用がかかります。物件契約、内装工事費、厨房機器や設備、備品、食材、仕入れ、人件費、宣伝広告など、ざっと見積もっても一般的に500万円~1,000万円が必要になると考えられます。
もちろんこれらを全て自己資金で用意することができれば、すぐにでも飲食店を開業することができるでしょう。しかし現実には多くの場合、必要額の2~3割程度の自己資金、足りない分は融資を受けて開業にこぎつけるといった流れがあります。
では、自己資金がまったくのゼロという状態で飲食店を開業する方法あるのでしょうか?その方法とリスクについて解説します。
結果からいうと、資金がない状態で飲食店を開業する方法はあります。以下にいくつかの方法を挙げますが、それぞれにリスクや課題があることを理解しておくことが重要です。
日本政策金融公庫では、個人事業主にも低金利での融資を実施しています。中でも「新創業融資制度」という、日本政策金融公庫の行う融資制度の中では、「現在勤務中の企業と同じ業種の事業を開業する場合」、または「産業競争力強化法で定められた認定特定創業支援等事業を受けつつ事業を始める場合」のどちらかであれば、自己資金なしで融資を受けることも可能です。
無担保、無保証で最大3000万円の融資を受けることができるため、比較的高い割合で新創業融資制度を利用していると考えられます。条件を満たしている場合には、資金が0円の場合でも最適な資金調達方法といえるかもしれません。
銀行をはじめとする金融機関などから融資を受けるといった方法も挙げられます。しかしこの方法はハードルが高い選択肢となります。金融機関の審査の基準は非常に厳しく、融資にまで至る可能性が限りなく低いといえます。
それにはこの飲食店開業が成功する確率が高いビジネスであるということを証明しなければならないためです。さらに自己資金が0円ということになると、返済能力を不安視されてしまことになるでしょう。
資金力のあるビジネスパートナーや投資家による出資をしてもらうことで自己資金なしから独立開業をしたうえで飲食店ビジネスを始めることもできます。
そこでは、ビジネスが魅力的であると理解してもらうことと、そして必ず成功する見込みなどを明確にアピールできなければ、出資をしてもらえる可能性は低くなります。
この場合、資金提供と引き換えに経営に関与する役割や利益の分配などが協議されるでしょう。また、不利な条件を提示されることもあるため、出資をしてくれる場合は関係管理も重要となります。
オンラインプラットフォームを使用してクラウドファンディングキャンペーンを開始し、資金を集めることもできます。
ただし、成功するためには魅力的な提案や広告活動が必要です。
SNSアカウントを自身で持っていて、数千~数万人規模でフォローしてくれている状況なら、クラウドファンディングもおすすめの方法です。
こうした状況なら、一定のファンを獲得できているため、一つクラウドファンディングを起こせば資金調達ができる可能性は存分にあると言えます。
もっとも、自分のやりたいことでなく、あくまでフォロワー側の目線から見て「応援したいな」と思えるプロジェクト内容でなければなりませんが、うまくいけば1000万円以上の出資も可能かもしれません。
このように資金が0円でも開業するための資金をどうにかする方法はありますが、どの方法を選択するにしても、リスクを避けるためにも事前の計画と慎重な検討が必要です。それではそのリスクにはどのようなことがあるのでしょうか。次でみていきましょう。
自己資金なしで飲食店を開業することは、大きなリスクを伴います。いくつか紹介します。
自己資金がない場合、事業を立ち上げるために融資を受けるか、投資家やパートナーを見つける必要がありますが、それらを返済するために毎月の収益が十分でなければ、経営が苦しくなる可能性があります。
飲食業界は競争が激しい業界です。立地条件やメニュー、サービスなど、他の店との差別化が必要です。しかしながら自己資金がない場合、マーケティングや広告活動など、競争力を高めるための資金を持たないかもしれません。
開業時に予期せぬ出費や、最初の数か月の低収益など、予想外の費用がかかることがあります。これらの出費を賄うための十分なリザーブがない場合、経営が困難になる可能性があります。
飲食店を運営するには、健康規制やライセンスの取得が必要です。これらの手続きには費用と時間がかかります。資金が不足している場合、これらの手続きを滞らせることになり、事業の立ち上げが遅れる可能性があります。
飲食業界では、スタッフを確保し、教育することが重要です。しかし、それらをおこなうために、求人広告などをだすためのコストがかかります。自己資金がない場合、適切な人材を雇うことが難しくなるかもしれません。
このように資金0円で開業した場合には、さまざまなリスクがうまれる可能性があります。全て売り上げが出ることを前提としなければならないため、先を見通すことも難しく自転車操業になりかねません。リスクを軽減するためには、慎重な計画と実行が必要となるでしょう。
実際に店舗を構えて営業するには多大な費用がかかりますが、テイクアウト・デリバリー専門店やキッチンカーなら費用を抑えることが可能です。
テイクアウトやデリバリー専門店、キッチンカーなどの営業形態では、店舗の賃貸料や内装・装飾費用が大幅に軽減でき、座席がないことからスタッフを雇う必要もなくなり人件費を節約できます。
SNSを活用することで広告宣伝費を抑え、開業資金を大幅に削減することができるのです。資金が0円であるならば、このようなテイクアウト専門店やキッチンカーなどから始めるのがおすすめといえます。
開業資金は0円の場合、飲食店を開くことは難しいでしょう。借入に依存した計画では、先を見通せず資金繰りが苦しくなる場合があります。
自己資金と借入金のバランスを考え、ゆとりを持った資金計画を立てることが大切なのです。これらのことから、少なくとも250~300万円程度の自己資金を用意しておくべきなのかもしれません。