【飲食店開業マニュアル】⑤事業計画書の書き方と融資面談時の注意点

将来開業の予定があるならやるべき準備

融資申請を受けるためには、提出すべき書類や様々な準備が必要です。本記事では飲食店開業を検討している方がスムーズに融資審査を通過するために、必要な準備や書類について紹介していきます。はじめに『まだ開業に向けて動き出してはいないけれど、いつか開業をするかもしれない』という方は、以下の準備をしておきましょう。

源泉徴収票を保管しておく

源泉徴収票とは法定調書の一つであり、日本において、給与・退職手当・公的年金等の支払をする者が、その支払額及び源泉徴収した所得税額を証明する書面です。手元にない場合は、勤務先へ再発行をお願いして下さい。働いていた会社が複数ある場合は、過去の勤務先にも連絡が必要でとなります。

確定申告をしておく

独立していない方だと、自分で確定申告をするイメージがない方もいるかもしれません。しかし、複数の勤務先に同時勤務している場合や、不動産収入などの別収入がある方などは、確定申告の義務があります。現在だとネットからでも確定申告が出来るようになっていますので、申告していなかった方は必ずするようにしましょう。

過去の給料明細を補完しておく

融資申請をする年の給与明細は必ず必要になります。また、それ以前の給与明細があればより良いので、思い立った時から保管しておくと良いでしょう。

自己資金(貯金)を貯めておく

自己資金は多ければ多いほど融資審査を通りやすくなります。しかし、コツコツと積み立てられた自己資金なのか、まとまった額を一気に振り込んだような自己資金なのかによって大きく印象が変わります。コツコツと自己資金が積み立てられている通帳はとても印象が良いので、融資審査を見越して貯蓄しておくことをおすすめします。

開業に向けて動き出したらしておくべき準備

続いて、開業に向けて具体的に動き出した方がやっておくべき準備について紹介します。

開業のために使った資金の領収書を保管しておく

物件取得時の領収書はもちろんのこと、店舗開業のための研修費、調理器具や食器類などを購入した領収書もきちんと保管しておきましょう。これらは、融資審査の際に自己資金とみなされる可能性があります。また、移動で使った領収書なども念のためとっておくとよいでしょう。

自宅と開業店舗の不動産契約書を保管しておく

自宅の場合、必要な書類は以下の2パターンに分かれます。

賃貸の場合=賃貸借契約書
・ローンで購入の場合=住宅ローン返済明細、売買契約書

また、開業店舗の場合は契約前と後で以下のように分かれます。

・不動産契約後=賃貸借契約書
・不動産契約前=保証金、礼金、仲介手数料などの金額がわかる書類

これらの書類を漏れなく保管しておくようにしてください。

飲食店関連の資格がある場合には、証明書を保管しておく

飲食店関連の資格をとっている場合は、それらの証明書も保管しておくようにしましょう。

事業計画書の書き方

事業計画書は融資申請で非常に重視されるだけでなく、物件取得時に不動産会社や大家さんに確認していただく書類としても利用できます。また、事業計画書をしっかりと書くことによって、お店のイメージがより固まってくるといったメリットもあります。そこで本記事では例として、日本政策金融公庫の創業計画書を参考にして紹介していきます。

創業の動機

創業の動機を書く際は『なぜ飲食店を開業したいのか?』『なぜこのタイミングで開業するのか?』『今までの経験をどのように活かすのか?』について明確に記載することが大切です。

経営者の略歴等

経営者の略歴等では自身のこれまでの経歴について記載していきます。この時、履歴書のようにただ事実を箇条書きにしていくのではなく『どういった役職でどのようなスキルを身に着けたのか』『具体的に経験した内容』についても詳しく書いていきましょう。たとえ経験年数が少ないとしても、どんな環境でどのようなことを学んできたのかアピールすることが大切です。もしもこれまでに取得した資格などがある場合は、それらについてもここで記載しておきましょう。

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスでは具体的なメニューの概要を記載してください。おすすめは別紙で現段階でのメニュー表の案を添付することです。特に看板メニューにしたいものがある場合は、画像をつけたり目立たせる工夫をしてください。ただ好きなようにメニューを書くのではなく、店舗コンセプトに基づいて決めたメニューであることをアピールすることが大切です。『こういう立地で、こういう人たちをターゲットにしているので、このメニューをいくらで提供する予定』という論理的な記載ができているとさらに好印象です。原材料やレシピなど、さらに詳細な内容が記載出来る場合は遠慮なく記載してください。

取引先・取引関係等

この項目について、飲食店だと取引先は一般個人(お客様)になるため、販売先は『一般個人(○○周辺在住の主婦層、○○在勤のサラリーマン)』のような記載になります。

従業員

従業員は事業計画書を書いている時点での想定人数を記載します。自分ひとりで切り盛りする場合は従業員数は0人、夫婦で切り盛りされるのであれば1人(うち家族1人)といった記載となります。

お借入れの状況

開業資金以外の借入がある場合には、現在の残高と年間の返済額を記載してください。

必要な資金と調達方法

融資審査の際に事業計画書の中で最も注視されるのがこの項目です。『必要な資金』としては初期費用と運転資金にわけて、資金計画をきちんと記載してください。『資金調達の方法』としては自己資金と他からの借入金にわけて明記し、その合計金額を記載してください。

事業の見通し

事業の見通しでは①創業当時、②軌道に乗ってから、の2パターンに分けて記載すると良いでしょう。

融資面談時の注意点

最後に、融資面談時に注意すべき点について紹介します。これらのことに気を付けるだけでも、面談で好印象を抱いてもらえる可能性があがります。

聞かれたことに、きちんと答える

審査の面談では聞かれてもいないことをべらべらとしゃべる必要はなく、聞かれたことに明確に答えられるかが大切です。しかし、緊張する場面だからこそ意外とこういた基本的な受け答えが出来ず、悪印象を抱かれる方がいます。そこで意識しておきたいのが『担当者は事業計画書を元に質問をしてくる』ということです。基本的に事業計画書の内容が頭に入っていれば答えられるはずですので、落ち着いて、はっきりと考えを伝えるようにしてください。

身だしなみを気を付ける

面談時に特に服装を指定されることはありませんが、TPOにあわせた常識的な服装で臨むことが大切です。基本的にはスーツやそれに見合った『綺麗め』な服装が望ましいでしょう。しわがよっていたり、汚れていないかに気を付けて、清潔感のある身だしなみを意識してください。

本人だけで面談をする

融資の相談は、申請者が単独で受けるのが原則です。専門家に同席してもらおうと考えている方がいるかもしれませんが、それはNGです。例えば何人かで共同で開業を考えているケースであっても、面談には代表者が1名行くことが望ましいでしょう。

まとめ

いかがでしたか。融資審査の準備は非常に大変ですが、今回紹介した項目に気を付けて準備すればかならず審査を通過することが出来ます。融資審査を受ける直前だと準備が間に合わないものあるので、余裕のある計画で進めていくことが大切です。


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