近年増えてきたと感じるインド料理店、大きく成長している店舗もあればこじんまりと営業している店舗もみられます。インド料理店は儲かるのでしょうか?
「インド料理店」とは、インドの伝統的な料理を提供するレストランのことです。日本でのインド料理店は、都市部を中心に数多くのインド料理店があり、最近ではネパール人が経営する「インド・ネパール料理店」も多く見られます。これらの店では、インドとネパールの料理がミックスされたメニューを提供しています。
インド料理とはどのような料理が一般的なのでしょうか。
ターメリック、クミン、コリアンダー、ガラムマサラ、チリなど多彩なスパイスを使用することで、独特かつインド料理ならではの味となります。
バターチキンは日本におけて代名詞ともいえます。ほかにもマトンカレー、ダール(豆カレー)などが代表的で家庭では出せない味として人気です。
インドでは菜食主義者も多く、野菜中心の料理が充実しています。
インドの窯焼きパンであるナンは非常に人気が高く日本でも定着しています。またバスマティライスが主食として出されることが多いです。
インドは広大な国であり、地域によって料理のスタイルが異なります。インド料理店によっては、次のような地域性を押し出しているところもあります。
濃厚でクリーミーなカレー、ナンが主流。
スパイシーでココナッツを多用、ドーサやサンバルなど。
魚料理が多い。
甘みのあるベジタリアン中心。
スタッフはインド出身の人が多いこともあり、本場の味が楽しめます。店内もインド風にまとめられ、音楽や装飾があることも多くみられます。手食文化に配慮して、手で食べることを歓迎している店もあります。
一般的に、インド料理店は原価率が低いとされ、回転率も高い傾向があるため、個人経営でも成功の可能性はあるといえます。しかしながら一方で難しい面も持ち合わせているため、条件が重要となります。
①豆やスパイス、小麦粉や米などは比較的安価で、原価率を抑えやすい料理といえます。野菜中心のメニューも多く、肉よりも仕入れコストを抑えられます。
②インドカレー店では、ランチセットとして、ナン・カレー・サラダ・ドリンク付きがみられます。ボリューム感があり、満足度が高いため、ビジネス街などでは特に人気が高いといえます。
③他の飲食店に比べて独特なスパイスの風味があるため、個性があり他と被りにくいといえます。また健康志向やヴィーガン人気の高まりにより、ベジタリアン向け需要も高い傾向があります。
④在留外国人やインド料理ファンの固定客が見込める。
①最近ではネパール人経営のインド・ネパール料理店が急増し、どこにいってもインド料理店をみかけるようになっており価格競争が起きやすくなっています。
②ナンを焼くための焼き窯、タンドールやスパイスの仕入れは日本では高くつく場合もあります。技術的な調理法が必要で、熟練スタッフがいないと味の安定が難しいともいわれています。
③味の差別化としても有効な香辛料ですが、日本人の中には、慣れていない人もおり敬遠されることもあります。
インド料理店の開業には、一般的な飲食店と同様に法的手続きや資金調達、物件選定、メニュー開発・人材確保など、さまざまなステップがあります。
日本人中心か外国人も含むかを明確にしたターゲットを考慮し、それに沿ったコンセプトを決定します。
例 : 「本格インド料理」「インドカレー店」「ベジタリアン専門」など
初期費用やランニングコスト、売上予測を含めた事業計画書を作り、必要な場合には融資をうけます。
駅近、ビジネス街など、人通りの多いエリアを選ぶことで集客につなげます。タンドール窯を置くことができある程度の広さと設備が必要となります。
調理経験がなくても1日講習で取得可能。
保健所に申請、店舗の設備要件を満たす必要あり。
客席数30人以上の施設で必要。
就労ビザや技人国ビザの確認が必要。
タンドール窯の設置、換気設備、スパイスの保管スペースを確保する必要があります。インドらしい内装やBGMも差別化ポイントとして取り入れます。衛生面や動線もしっかりと考慮しましょう。
スパイスやバスマティライスなどは専門の輸入業者と契約、または業務用スーパーやネット通販、またはインド人コミュニティ)で仕入れるケースも多くみられます。
コンセプトにあったメニューを開発します。日本人の好みに合わせた味付けを取り入れることは大切です。ランチセットやテイクアウト対応も検討するといいでしょう。
ナン職人やインド出身者などの調理経験者は大きな戦力となります。日本語もある程度できるスタッフがいると安心です。外国人採用時には在留資格と労務管理が必要となります。
SNSやGoogleビジネスプロフィール、食べログなどに掲載し、オープニングキャンペーンの検討をおこないます。
最初の3ヶ月は特に重要となるので、口コミやリピーターの獲得に力を入れるといいでしょう。日本人向けに味を調整したり、丁寧な接客、店内の清潔感で印象をアップします。
インド料理店は、原価率の低さやテイクアウト需要など、個人経営でも成功の可能性がある要素があります。しかし人件費や競合店の多さ、物件の難しさなど、デメリットもあるため、開業資金や事業計画をしっかりと立て、お店のコンセプトや差別化戦略を工夫することが、重要なポイントとなります。